ANTHEM A:1
FALMOを始めるにあたり、最初に声をかけたブランドがANTHEM Aでした。
初めてお二人にお会いしたのは、26SSの展示会。当時はまだ物件も開店時期も決まっていない、本当にこれから店を始めよう計画としていた時期。そんな段階にもかかわらず、快くお話を聞いていただき、展示会にも迎えていただいたことを今でもよく覚えています。そこから今回で3回目の展示会。時間が経つのは早いものです。
そして私が初めてANTHEM Aというブランドを知ったのは、ふとどこかのページで目にした、レザーのような質感のクラック加工。目に留まった、ひび割れたような独特の表情。それがANTHEM Aを知るきっかけでした。
今季、ブランドが掲げるテーマは “INNER UNIVERSE”。自身の内面へと向き合う旅を前編として、光と闇、表と裏、矛盾や混沌といった相反するものを排除するのではなく、そのまま受け入れ、共存していく。そんな内面の揺らぎが、今季のコレクションにはさまざまな形で表現されています。

今年3月にブランド初のランウェイがあり、見に行かせていただきました。これは本当に素晴らしかった。
クラシックを軸としながら、その均衡をあえて崩していくスタイル。重厚なテーラリングに異素材を重ね、肌を見せるものと身体を覆うもの、光沢のある素材とマットな素材、伝統的なものと革新的なものを組み合わせるスタイル。
異なる素材や加工、質感を組み合わせながらも、そこには確かな意志があります。ANTHEM Aが掲げる「ミクスチャースタイル」は、単に異なる服を組み合わせることではなく、相反するものの間に新しい価値を見つけることなのだと思います。
そして今回、FALMOの1stデリバリーで入荷したのが、ブランドを知るきっかけとなった、代表的な加工を施したパーカーブルゾン。レザー調のクラック加工を一つひとつ手作業で施し、ひび割れのムラや奥行きを繊細に表現しています。


素材をガチガチに固めるのではなく、あえて柔らかく軽量なコンパクトミニ裏毛をベースにすることで、見た目の重厚さとは裏腹に、軽やかに羽織れる仕上がりに。デザインもMA-1とパーカーをドッキングさせ、半解体したようなディテールに再構築。立体的な2枚袖によってブルゾンとしての構築感を残しながら、パーカーのような軽快さを持たせています。



そして何より、この加工は完成した瞬間が終わりではありません。洗濯や着用による摩擦によってクラックが少しずつ変化し、下地の毛が覗き始める。時間の経過とともに色味や表情にさらに奥行きが生まれ、長年着込まれたヴィンテージレザーのような風合いへと変化していきます。
私自身も個人オーダー済み。色はかなり迷いましたが、今回はOLIVEを選びました。届いて、早速一度洗濯。一度目の洗濯だけでも生地にあった硬さが少し抜け、表面にはほんの僅かに光沢が現れました。
まだ始まったばかりですが、ここから自分自身の着用と洗濯を重ねることで、クラックがどんな表情へ変化していくのか。ブランドを知るきっかけになった加工を、今度は自分自身が着ることで、その変化を追っていけることを楽しみにしています。

(右が洗濯済み)
クラシックを壊し、異なるものを混ぜ合わせ、まだ見えていない表情を引き出していく。今季のANTHEM Aが描く“INNER UNIVERSE”という世界観を、最も直感的に感じられる一着だと思います。