SARTO : 1

SARTO : 1

SARTOを初めて手にした時の衝撃は今でも忘れられません。

男臭い無骨さがありながら、刺繍にはどこかエレガントな美しさがある。ポケットやステッチ、パターンに至るまで、細部を見れば見るほど作り込まれている。無骨なのに繊細。機能的なのに装飾的。相反するような要素が一着の中に自然と共存していて、初めて手にしたときから「これは只者じゃないな」と感じました。

しかもブランド名の「SARTO」は、イタリア語で仕立て屋やテーラリング技術を意味する言葉に由来するそう。こんなの、惹かれる要素しかありません。

初めて展示会に伺ったとき、まず驚いたのがその型数の多さ。まだブランドとしてスタートして4年ほどだと思いますが、それにしても型数がものすごい。

ただ数が多いだけではなく、アイテムごとに「この服はこういう良さがある」という明確な理由があります。機能性を突き詰めた結果として生まれる美しさだったり、シルエットを成立させるための構造だったり、素材を活かすためのディテールだったり。同じものがないんです。

例えば「シャツ」という一つのアイテム。普通であれば、ブランドとしてある程度共通したパターンやディテールがあり、そこから生地や色、細かな仕様を変えていくことが多い。

そんな中、SARTOはシャツという同じカテゴリーの中でも一着ごとに全然違う。袖の付け方、ディテールはもちろん、ステッチの本数、生地の取り方、立体感や膨らみまで、それぞれのアイテムに合わせて変わっています。

「SARTOのシャツ」という一つの型があって、そこから派生しているというより、その服に必要な形を、その都度考えています

ブランドのシグネチャーでもある刺繍デニムもそう。テーパードとワイドの2型がありますが、ここも単純にシルエットの幅だけを変えているわけではありません。

テーパードにはトラウザーの要素を取り入れ、フロントにはスラッシュポケット。バックにはホームベース型のパッチポケットを配し、サイドの刺繍と呼応するディテールを加えています。

一方でワイドは、ウエスタンデニムから着想を得たデザイン。腰回りをすっきりとさせながら裾にかけてしっかりとボリュームを持たせたシルエットに合わせ、フロントにはLポケット、バックにはより大きな6角形のパッチポケットを採用しています。

同じサイドパネル刺繍をアイコンとして持ちながら、シルエットが変われば、ポケットの形や大きさ、取り付け方まで変える。つまり、レギュラーとワイドという「2サイズ展開」ではなく、それぞれを一つの別のデザインとして考えています。

こんなブランド、今まで見たことがない。もちろん、これだけのことができるのは、豊島さん、池田さん。お二人がこれまで培ってきた確かな経験や技術があってこそだと思います。

そして、それぞれの専門性を持った二人がデュオとして服を作っていること。デザインする人と、それをパターンに起こす人という関係ではなく、互いの視点を持ち寄りながら、デザインと構造を一緒に突き詰めていく。だからこそ、一見すると細かな違いに見える部分まで、その服にとって必要な形になっている。SARTOの服を見ていると、そういうところまで感じます。

こうやって説明すると、少しとっつきにくいというか、「敷居が高そう」「玄人向けかな」と思われるかもしれません。でも、全然そんなことないですよ。実際に服を見て、触って、袖を通してみる。すると、服に詳しいかどうかに関係なく、「これは確かに違うな」と思える説得力がある。シルエットもめちゃめちゃ良いですし。

それがSARTOというブランドだと思っています。

現在店頭には春夏のアイテムが多く並んでいますが、秋冬の商品もこれからどんどん入荷してきます。スペシャルなものも、かなりあります。……語れます。めちゃくちゃ語れます。

ぜひ実際に見て、触ってみてください。それぞれの服にある違いも含めて、私からも色々とお話しさせていただきます。